心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

3 監禁されている少女の正体


 別邸に忍び込んだ次の日、グレイはあの子どものことを考えていた。

 昨夜、本人からはなんの情報も得られなかった。
 誰なのか、どこから来たのか、いつからいるのか、なぜ監禁されているのか。

 冷静になればなるほど、グレイには不思議で仕方がなかった。
 あんな子どもを監禁して何か得でもあるのだろうかと。



 そもそもあの子どもはイザベラが連れて来たのか?
 ずっと引きこもっていた女がなぜ突然子どもを監禁する? 
 イザベラではなく、ジュード卿が連れて来たのではないか……?



 そこまで考えて初めて、グレイはあの子どもが誰なのかがわかった。

 ジュード卿の愛人が抱いていた赤ん坊ではないのか、と。
 今まで、グレイはあの赤ん坊の存在をすっかり忘れていた。
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