心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「お前も一緒に行くだと?」
「はい」
今まで俺が別邸に行くのを知っていてもついてこなかったくせに、急になんだ?
グレイはガイルを不審に思うと同時に、嫌な予感がした。
この男が理由もなく突然こんなことを言ってくるのはおかしい。何かあるからに違いない。
俺達だけでは行かせられない理由が……?
自分が監視しなければいけない何かが……?
グレイの中の胸騒ぎが大きくなっていく。
諭すような目でグレイを見つめてくるガイルが気に入らない。
レオは、グレイとガイルを怯えた顔で交互に見つめた。
状況はよくわかっていないが、なんとなくグレイの不穏な空気を感じ取っているようだった。
「……今すぐ行くぞ」
グレイは椅子から立ち上がり、レオとガイルに向かって言った。