心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
 考えてみれば、2人が死んだと聞かされた日にその子どものことは何も言われていない。

 あの事故のあった日に、子どもは一緒にいたのか?
 一緒に死んだのか? 
 何も言われてないということは、まだその子どもは生きているのではないのか……?


「もし生きていたとしたら……」


 グレイは自分の推測が当たっている自信があった。
 間違いなくあの子どもはあの時の赤ん坊だ。生きていたのだ。

 イザベラは、夫の愛人の子どもを監禁していたのである。

 正常に戻ってきたように思えたが、やはりまだイザベラは狂っている。
 憎らしい愛人の娘をこっそり監禁して、毎日毎日何をしているのか。

 そう考えた時に、グレイの頭の中にはまともな答えなど浮かんではこなかった。
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