心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 グレイは真っ先に階段を上がり、奥の部屋へ向かう。

 かなりスピードも出したというのに、65歳のガイルは息切れすることなく足元を照らし続けながらしっかりあとをついて来た。

 バタン!

 少し乱暴に扉を開けて、グレイは檻の前に立った。
 ガイルの持ったランプが、その中で横たわる少女を照らしている。

 
「…………マリア?」

「……!! な……なんだよこれっ!?」


 少し遅れてやってきたレオが、声を荒げた。

 大きな足音が聞こえていたはずなのに、起き上がっていないマリア。
 眠っているのか意識がないのか、動けないのか……傷だらけのマリアは、檻の奥で横になったままだ。

 眼帯をつけているため、起きているのかわからない。
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