心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
23 イザベラからの暴力
その日、マリアは真っ暗な檻の中で丸くなって眠っていた。
食事が届かなくなって3日。お腹が空いたという感覚もほとんどなかった。
毎月のこと。毎月3日か4日はこの絶食期がくる。
月が隠れて、マリアの力が使えなくなると誰もマリアの所には訪れない。
他人には使えずとも、自分にはかすかに使うことができる『治癒』と『浄化』の力で、マリアはなんとか餓死や衰弱死することなく生きている。
少量だが、水を出すこともできる。
だがそのかすかな力も、怪我を完璧に治すまではできなかった。
それを知っているイザベラは、力が使えなくなった初日にマリアの所を訪れる。
「さぁ、早くそこから出て来なさい。罰の時間よ」
イザベラに言われ、マリアは檻から出た。
足についていた鎖はキーズというネズミ顔の執事が取ってくれていた。