心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 いつからか……数ヶ月前から、この3日の間にパンが置かれるようになった。
 マリアが寝ている間に置いて行っているのか、誰が持って来ているのかはわからない。

 目が覚めると、檻の中にパンが置いてあるのである。

 決して満腹になるほどの量ではない。
 マリアはそのパンをちょこちょこと大事に食べた。
 イザベラには気づかれていない。

 キーズという男の人がこっそり置いて行ってくれてるのかと、マリアは思っていた。





 身体がとても重く、頭も痛い。
 いつもとは様子の違う体調の悪さに意識を失っていたのか、マリアが目を覚ますとレオが泣きそうな顔をしているのが目に入った。

 そのレオの隣にはグレイが立っているのが見える。

 
「マリア!! 気づいた!? 大丈夫!?」

「マリア!」

「…………おにい……さま……?」


 グレイが腰をおろしてマリアに近づいた。
 あまり表情に出てはいないが、苦しそうな顔をしているのがわかる。
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