心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 レオが呼びかけるが、グレイは答えない。

 出口から1番遠い場所に立っていたはずの男性が、いつの間にか扉の前に立ちその道を塞いでいる。


「ガイル、どけ」

「いけません。まだ、イザベラ様にどう対応なさるか決めていないではないですか」

「関係ない。あの女に文句を言ってやらないと気が済まない」

「いけません。今あなたがこの件に口を挟んでも、良い方向には進みませんよ」


 怒鳴り合うわけではなく、静かに言い合っている2人。
 グレイはガイルを睨みつけて舌打ちをした。


「お前が今日ここについて来ると言った理由はこれか。俺がマリアのことを知って暴走すると思ったんだな?」

「はい」
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