心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
27 聖女の存在が王宮にバレた
グレイもレオも、足を止めて遠くにうっすら見える門を見つめていた。
今聞こえているこの警備隊の鐘の音。
この音が本当にこの屋敷を目指しているのかを確認するまでは、とてもではないが動くことができない。
「これ……この家に向かってるのかな? な……なんで……」
レオがビクビクした様子でグレイに尋ねてくる。
質問系ではあるが、きっとレオもなんとなく察しているはずだとグレイは思った。
聖女がいるとリークされたのではないか。
マリアの存在を知っている貴族は多数いる。
イザベラが家に呼んで、治癒させては報酬を受け取っているからだ。