心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 今は瞳の輝きがないとはいえ、瞳の色が黄金色であることは隠せない。
 この世界で聖女以外に黄金色の瞳はいないのだから、この瞳を見られるわけにはいかないのだ。

 今すぐ本邸に行ってマリアを隠したほうがいいのかもしれないが、もし警備隊が屋敷の中を調べるとなったら面倒だ。

 それならばマリアには近くにいてもらったほうがいい、とグレイは考えた。



 どうなんだ? 本当に聖女のことを知られてしまったのか?



 門を睨みつけていたグレイは、馬に乗った騎士が数人やって来たのが見えた。
 そして、レオ共々目を見開いた。


「まさか……あの服は……王宮騎士団!?」


 暗い中でも明るく見える、真っ白な騎士の制服は間違いなく王宮騎士団の制服である。
 黒い制服を着た街の警備隊2人の他は、王宮騎士団が5人ほどいる。

 騎士団はヴィリアー家の門の前で止まった。
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