心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
 あの光の正体、そして短時間で身体の不調を治した事実、これを突き止めるために、もう一度あの子どもに会おうと決めた。



 それから、あの子どもの正体が本当にジュード卿の愛人の娘なのかも確認しなくては……。
 


 そう考えた時、ふとあることに気がついた。
 もし本当にあの赤ん坊なのだとしたら、あの子どもは今7歳のはずである。

 グレイはあの子どもの姿を思い浮かべた。 

 小さく細い身体に、座った状態で床までつくほどの長い髪、白い無地のワンピース姿。
 情報はそれしかないが、どう見ても4、5歳にしか見えなかった。



 7歳の子どもはあんなに小さいものなのか……? 
 それともあの子どもだけがあれほど小さいのだろうか……。



 檻に監禁され、まともに育てられていないせいで成長が遅いのかもしれない、とグレイは妙に納得した。

 彼の興味はすでに子どもの年齢からは離れ、今夜あの子どもにどんな質問をするかでいっぱいになっている。
 
 今夜は確認したいことを全て聞き出してやる、とグレイは胸を高鳴らせた。

 ゲームを前にした少年グレイは、自分が今『楽しみ、ワクワク』という感情になっていることに気づいていない。
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