心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 グレイが答えられずにいると、別邸から騎士達が出てきた。
 先頭にはイザベラを抱えたガイルがいる。


「密告のあった通り、聖女の監禁されているという檻が発見された。しかし聖女はいなかった」

「当主であるイザベラ婦人も気を失った状態であるが発見した」

「ガイルさん……でしたね? お話を聞かせてもらえますか?」


 出てきた騎士達は互いに報告を済ませると、皆ガイルに注目した。

 屋敷の当主……それも顔に大きな傷を作り、気絶しているイザベラを抱えていた怪しすぎるガイルは、キョトンとした顔で質問を返した。


「はて? 何についてでしょう? それよりも、なぜ無断で伯爵家の敷地内に入り、なぜ無断で屋敷の中にまで入って来たのか……その説明を先に聞きたいですね」


 とぼけたフリをしているが、確実に怒っているな……とグレイは思った。
 目に見えない覇気に、騎士達はゾクっとして青ざめている。
< 212 / 765 >

この作品をシェア

pagetop