心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「そ、それは、密告があったからです! この屋敷の別邸に、聖女が監禁されていると」
「それを信じて、何の確認もなくいきなりあんな暴挙に出たと?」
「お……王宮からの指示です! もし本当に聖女を隠していたのなら、それは重罪ですから!」
重罪という言葉を聞いて、レオが一瞬ビクッと身体を震わせた。
騎士達は、ガイルの真っ直ぐ見つめるシルバーの瞳に怯えているようだった。
なんとか王宮騎士団のプライドを持ってこらえているのが見てわかる。
「そっそれよりも、この現状はなんですか!? なぜイザベラ婦人はこんな状態に? 聖女はどこに?」
「聖女はまだ5歳くらいの子どもだと聞きました。1人でどこかに逃げたわけでもないでしょう……」
そこまで言って、騎士達がハッとして一斉にグレイを見た。
正確にいうと、グレイではなく……グレイが抱えている少女に視線を向けている。