心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
28 本当の伯爵家当主は……
騎士達の前ではっきりと聖女だと言ってしまったガイルを、グレイとレオは呆気に取られた顔で見つめた。
隠し通せるとは思っていないが、だからといってこちらからあっさり伝えるとは。
ガイルが何を考えているのかがわからず、グレイは無言のまま戸惑っていた。
そんな呆然としている2人を気にもとめていないのか、無表情のガイルはその後もペラペラと話していく。
「本物なのかどうか力を確認されたいかもしれませんが、本日は月のない夜。聖女の力を使うことはできぬ故、お見せすることはできません」
「そうか。監禁されているという情報があったが、本当か? 2階の奥の部屋で檻を発見したが、間違いはないか?」
「本当です。イザベラ様と、そこに停まっている馬車の中にいるキーズという男が監禁しておりました」
騎士が数人、ヴィリアー家の馬車の扉を開けて、中で拘束されているキーズを発見した。
騎士団長からの質問にあっさりと答えたガイルを、グレイはキッと睨みつけた。