心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
どうすればいい……!?
爵位がなくなったら、この家は何の力もないただの平民になってしまう。
そんな状態では、マリアを……聖女の面倒を見るなど許されない。
どうしていいのかわからず、ただ近づいてくる騎士を見つめていると、またガイルが口を出してきた。
「聖女様を発見したのはヴィリアー伯爵家です。いくら伝説の聖女様といえ、王宮が勝手に連れ去ることは許されませんよ。それでは盗人と同類になってしまいますから」
「……相手が伯爵家であれば、そうでしょうね。ですが、聖女様発見を黙っていたこと、聖女様を監禁していたことは重罪です。爵位は剥奪されると思いますよ。そうなった場合、王宮が聖女様を引き取るのは当然のこと」
「ヴィリアー伯爵家当主が聖女様を発見したのはつい先ほどであり、監禁したのは当主ではありません。つまり、爵位が剥奪されることはないでしょう。この国では、本人の過失以外で爵位剥奪は認められていないはず」
「…………は?」