心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
ガイルと話していた騎士だけでなく、騎士団長や他の騎士、そしてレオやグレイまでも……その場にいる全員が、口をポカンと開けた。
コイツは何を言っているんだ?
今、自分でイザベラが聖女を監禁していたと言ったばかりではないか。
おそらく、この場にいた者はグレイと同じことを考えただろう。
すかさず騎士が聞き返していた。
「一体何を……。聖女様を監禁したのはイザベラ婦人だと、ご自分で言ったのではないですか」
「そうとも。聖女様を監禁したのはイザベラ様であり、ヴィリアー伯爵家の当主ではない」
「……まさか」
そこまで言われて初めて、全員の頭にはある可能性が浮かんだ。
みんなの視線がグレイに注がれる。
隣に立っているレオからも驚いたような目で見られているが、グレイ自身も同じくらい驚いていた。
……まさか?