心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
ガイルに言いたいこと、聞きたいことはたくさんあるが、騎士達のいる場でするべきではない。
グレイは冷静さを取り戻し、堂々とした態度で騎士達に向かって話し始めた。
「聞いただろう? この家の当主は俺だ。お前達は今すぐに罪人であるこの女と、そこの馬車の中にいるキーズという執事を捕まえて王宮に連れて行けばいいんだ」
「聖女様は……」
「伯爵家当主の妹を勝手に連れて行く気か? 王宮に呼びたいのであれば、正式な招待状をよこしてから言うんだな」
「だが……」
騎士団長が口を開いたと同時に、ガイルが間に入ってきた。
「私は言ったはずです。なぜ無断で伯爵家の敷地に入り、無断で屋敷の中にまで入ってきたのか……とね。あなた方は、当主が重罪を犯しているから構わない……といった態度でしたね?」
その言葉を聞いて、騎士達の顔色が青くなる。
グレイはニヤッと笑ってしまいそうになるのをこらえて、騎士達に向かって言った。