心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「俺は何も過失を犯してはいない。それなのに俺の許可もなく、伯爵家に無断侵入をした……となれば、王宮騎士団の名も落ちるな」
「……では本日はこの2名を連れて行くことにしよう」
「団長! ですが……!」
「大丈夫だ。……きっとすぐに王宮から正式な連絡がくるでしょう」
悔しそうな感情を顔には出さず、騎士団長は他の騎士に命令してイザベラやキーズを罪人用の馬車に乗せた。
もう一つ綺麗な王宮の馬車があるが、きっとこれには聖女を乗せるつもりで用意してきたのだろう。
母が捕まり連れて行かれようとしているのに、グレイには何の感情も湧かなかった。
騎士団が門を越えて行ったのを確認し、グレイはマリアに声をかけた。
「マリア。もういいぞ」