心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
寝たフリをしていたマリアが、パチっと目を開けてグレイの顔を覗き込む。
「……マリア、連れて行かれない?」
「ああ」
グレイがそう答えると、マリアはホッと胸を撫でおろした。
その様子を見ていたレオが、大きなため息をつきながらガックリと項垂れて膝に手をつく。
……と思ったらすぐに顔を上げてグレイに詰め寄ってきた。
「ああーーー怖かったーー。それより、グレイが当主ってどういうこと!?」
グレイはレオの質問には答えずに、ガイルに向き直った。
「ガイル、説明しろ」
「かしこまりました。ですが、お話は本邸で」
そう言うと、ガイルは別邸に鍵をかけて本邸に向かって歩き始めた。