心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
29 守られた爵位
本邸に戻るなり、ガイルは空き部屋へとグレイ達を案内した。
グレイの部屋の近くにある空き部屋。
そこに入るなりグレイは違和感を覚えた。
この部屋……こんな内装だったか?
暗い色のカーテンや絨毯ばかりのヴィリアー伯爵家に似つかわしくない、明るい色のカーテンに家具。
ベッドまで置いてある。
マリアのために用意された部屋なのだと、グレイはすぐにわかった。
今日、俺が別邸に行こうとしていたこと、その結果マリアをこの家に連れてくること、全部わかってて準備してたというのか?
このジジイは一体どこまで……。