心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 グレイはマリアをベッドに下ろすと、ガイルに食事を持ってくるように命じた。
 早く話したいことがあるが、まずは空腹のマリアの腹を満たすことが先決である。

 マリアは別邸よりも広くて綺麗な部屋を見て、目を輝かせていた。
 気づけば、ずっと無表情だったマリアの顔もだんだんと明るくなってきている。

 マリアの嬉しそうな顔を見て、なぜかレオが同じくらい嬉しそうな顔をしていた。


「お待たせいたしました」


 久しぶりのお食事なので、まずは身体に優しいものから……と、ガイルは細かく刻んだ野菜と卵の入ったスープを持ってきた。

 マリアはゆっくりと、それを味わいながら少しずつ口に運んでいく。
 満腹になると、また熱が上がってきたのか薬を飲んでぐっすりと眠ってしまった。
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