心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 グレイとガイルが会話しているのを、レオは大人しく紅茶を飲みながら黙って聞いていた。
 騒がしい男であるが、意外と空気を読むことができる。


「使用人はどこまで知っている?」

「キーズ以外は皆存じております」


 使用人も全員知っていると聞いて、グレイはイザベラが爵位を継ぐと言い出した日のことを思い出した。

 あの日、ずっと部屋にこもっていたイザベラからの突然の提案に、それは無理だと反対する者はいなかった。



 全員狂っているとは思っていたが、イザベラが継いでいないことをわかっていたのか。
 あの女にここまでの経営能力があるとは……と驚いていたが、それもガイルがやっていたからだったんだな。
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