心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「……ヴィリアー家の主人を2人とも騙すとは、よくやってくれたな」
「罰ならば喜んで受けましょう。ヴィリアー伯爵家の爵位が剥奪されなかったことで、私に後悔はありませんから」
ガイルと初めてまともに会話をしたあの日、ガイルが1番大切なのはヴィリアー伯爵家だと言っていたのを思い出す。
この男にとって、友人であるアーノルドはどれほど大事な存在なのだろうか。
詳しく聞きたい気持ちなど全くないが、自分が騙されていたというのにグレイは悪い気はしていなかった。
そんな自分に、グレイ自身が驚いていた。
「グレイ……」
心配そうな顔で、レオがボソッとつぶやく。
レオは、グレイが本当にガイルを罰するのではないかと不安に思っているのだ。