心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「はぁ……。今回はそのおかげで助かったからな。罰はない」
「……! ああ、良かった!」
レオはパァッと明るい笑顔になり、嬉しそうな声を上げた。
ガイルは無表情のままペコリと頭を下げる。
なぜ本人以上に喜んでいるのかと、グレイはレオをジロっと横目で見たがレオはそんな視線には気づいていない。
「マリアも檻から出れたし、本当に良かった! ……あ。でも、グレイのお母さん大丈夫かな?」
「さあな。明日にはすぐに王宮から何か連絡があると思うぞ」
「マリアと交換って言われるかも。どうするの?」
「はぁ? そんなのマリアを選ぶに決まってるだろ」
そう答えるとレオは頬を緩ませ温かな視線をグレイに向けてきたので、グレイは少し不機嫌になった。
嫌悪の目で見られるよりも、温かな視線の方が居心地が悪い……とグレイは思った。