心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
31 初めての入浴とオシャレ
「ではこちらへどうぞ。マリア様」
エミリーというメイドに案内され、マリアは浴室に足を踏み入れた。
1人では心細かったためグレイに一緒に来てほしかったが、キッパリと断られてしまった。
俺は一緒に行くことはできないと言っていたけれど、お風呂とは一体どんな場所なのだろうか。
マリアは不安になりながら、エミリーのあとについて歩いた。
「ではお洋服を脱がせていただきますね」
エミリーの言葉はマリアには届いていなかった。
初めて見た浴槽に、目を奪われていたからである。
お……お水がこんなにたくさん入ってる!
これ、全部飲まなきゃいけないのかな? マリア、できるかな?