心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「この花も、メイドが朝1番で庭師から受け取ったものでございます」
ガイルが誇らしそうにそう言ったが、グレイはなんと返していいのかわからなかったため聞こえないフリをした。
マリアの席は、グレイの席の隣に設置してある。
グレイが迷わずに自分の席に着くと、レオが恨めしそうな声を上げた。
「いいな〜! 俺もマリアの隣に座りたいよ」
「お前は今すぐ家に帰ってもいいんだぞ?」
「なんだよ〜! 今日は学校も休みなんだし、まだいてもいいだろ!」
そんな会話をしていると、エミリーがやってきた。
「マリア様をお連れいたしました」
その声に、グレイとレオの視線が入り口に注がれた。
食堂の中にいた使用人達も、みんなが一斉に手を止めて振り返っている。
「!!」