心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

34 王宮からの手紙


 マリア宛ての手紙を封筒から出し、グレイは自分の目の前に広げた。

 ドキドキしながらグレイを見つめていたマリアは、手紙を見た瞬間に彼の眉間にシワが寄ったのがわかった。
 あきらかに不機嫌になっている。

 ピリピリとした空気が流れてメイド達の顔色が青くなっていく。

 ふぅ……と一息吐いて読み上げていくグレイの瞳は、淡々としている声とは違いどんどん暗く怒りの色を増していった。

 手紙の内容は、聖女誕生に対する驚きと感動の言葉、聖女の存在意義の話、王宮と聖女の関係……簡単に言ってしまえばこう一言で表す事ができる。


『聖女様は王宮にいるべき存在である』


 聖女を王宮に迎え入れたいという内容を、グダグダと長い言い訳で書き記しているだけであった。
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