心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「わああああ。マ、マリア様あああ」
「神々しい……。これはもう天使様では……!?」
「こんなに可愛いお方は今まで見た事がありませんっ!!」


 全ての支度が整ったマリアの姿を見て、メイド達が感動して泣き出している。
 鏡で自分の姿を見たマリア自身も驚いていた。



 わあ……!
 エミリーに読んでもらった本のお姫様みたい……!



 自分がキラキラと輝いて見えるのは、ドレスや髪飾りについた宝石のおかげかな?
 マリアがそんなことを考えていると、部屋の扉をノックされた。

 コンコンコン


「マリア、俺だ。開けていいか?」

「は、はい!」


 マリアが返事をすると、メイド達は皆ピシッとして姿勢良く壁際に並んだ。

 いつもは冷たい主人の登場に怯えるところだが、これだけ可愛いマリアの姿を見たグレイがどんな反応をするのかと皆ワクワクする気持ちを隠しきれていない。
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