心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「……マリア。よく似合ってるぞ」

「……えへへ」


 基本無表情な2人が、満面の……とまではいかないが微笑んでいる。


(なんと麗しい……!!)
(誰か……!! 今すぐこのお2人の絵を描いてくださいませ……!!)
(この美しさを永遠に残したい……!!)


 メイド達が目に涙を溜めながらそんなことを考えているとは、グレイもマリアも気づいてはいなかった。


「お兄様もとっても素敵です」

「……そうか」


 グレイはふっと笑いながら立ち上がり、マリアに手を差し出した。

 マリアは差し出されたグレイの手を見た後に、チラッとグレイの顔を見る。
 そしてグレイがコクンと頷くのを確認してから、その手に自分の手を重ねた。


「では、行くぞ」

「はい」
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