心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
ずらっと並んだ執事やメイド、騎士たち。
王宮の入口までの道に綺麗に整列している。
グレイは王宮に来るのが初めてだったが、この出迎えは聖女であるマリアのためだということがわかった。
ただの伯爵家の子ども当主をこんなに手厚く出迎えるはずがない。
「まるで一国の王族扱いだな」
「え?」
「いや、なんでもない」
マリアはキョトンとした顔でグレイを見つめた。
明るい日差しに照らされたマリアの瞳は、本物の宝石のように眩しく輝いていてとても神秘的である。
伝説の聖女が誕生したんだ。
これだけの待遇をされて当然だろう。
その時、カチャ……と丁寧に馬車の扉が開けられた。
「ヴィリアー伯爵様。聖女マリア様。お待ちしておりました」