心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「よく来てくれた、ヴィリアー伯爵。……そして聖女マリア様」


 王座の間に通されたグレイとマリアは、この国特有の貴族の礼をして国王との挨拶を交わした。

 目の前には立派な王座に座る若き国王と王妃の姿。
 そこから少しだけ離れた場所には、王子と思わしき2人の少年が座っている。

 グレイやマリアを囲うように、左右には官僚や大公家、公爵家と思われる大物貴族がずらっと並んでいる。

 まるで見せ物にされているようでグレイは気分が悪かった。


「まさか数百年誕生されなかった聖女がこの国にいる、と聞いた時は驚いたぞ。今、何歳なのだ?」


 優しい口調だがそれなりの威圧感もある。
 国民から評判の良い国王は、明るい笑顔で2人に話しかけてきた。
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