心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
37 聖女の力、お披露目
国王はしばらく無言のままマリアを見つめていたかと思うと、ここにいる誰もが期待していた言葉を発した。
「聖女の力を……見せてもらうことは可能か?」
この言葉に、横に並んでいる貴族達がざわめき出した。
王妃も王子達も興味をそそられるような顔でマリアに注目している。
こう言われるであろうことはわかっていたため、マリアは迷わず返事をした。
「はい。できます、陛下」
「そうか。では……」
マリアの返事を聞くなり、国王は入口に立っている執事に目配せをした。
軽く頭を下げた執事はその場を離れ、すぐに1人の騎士を連れて戻ってきた。
おそらくすでに待機させていたのであろう。