心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
全く意見を変えそうにないマリアの様子を見て、国王も諦めたようにため息をついた。
「そんなにヴィリアー伯爵家が良いのであれば仕方ないだろう。だが、聖女は我が国の希望だ。王宮騎士団から1つの部隊をヴィリアー伯爵家に送らせてもらう。構わないな?」
最後にグレイを見てそう言ったので、グレイは「もちろんです。感謝いたします」とだけ答えた。
王宮の騎士団が家の周りをうろつくなんてグレイにとってはあまり喜ばしいことではないが、マリアを守る為には受け入れるしかないのである。
それにしても、思っていたよりもあっさりとマリアを王宮に迎えることを諦めたな……。
そうグレイが呆気に取られていると、国王は引き続きグレイに向かって話を続けてきた。