心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
39 ピュア聖女とピュア王子
中庭の入口あたりで会話をしていたマリアとエドワード王子。
マリアの「お兄様よりちび」発言で、エドワード王子は一度怒鳴ったあとに黙り込んでしまった。
「あの……エドワード様……」
「な、なんだ!?」
「いえ……」
マリアは王子に話しかけてみたが、なんと言っていいのかわからず会話が続かない。
怒らせてしまったのかとマリアは少し戸惑ったが、王子は怒っていると言うよりも焦っているように見える。
このシーンとした気まずい状況に耐えられないようだ。
ずっとソワソワと小刻みに手や足を動かしている。
静かな空気に慣れているマリアは何とも思っていなかったが、エドワード王子は助けを求めるように執事に視線を送った。
どうすればいいんだ!? なんとかしろ!!
少し離れた場所で2人を見守っていた執事は、そんな王子からの必死な視線に気づくなり『歩く』ジェスチャーをした。
散歩をしろという意味である。