心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
丸くデザインの凝った白いテーブルと椅子。
お尻が痛くならないようにするためか、小さいマリアを気遣ってか、椅子にはフカフカのクッションが敷かれている。
テーブルの上には何種類ものケーキやクッキー、チョコレートまで用意されている。
普段は使っていない薄いピンク色に花柄のティーセットが用意されているのを見て、王子は眉をひそめた。
俺もこのカップを使うのか!?
と目で訴えていたが、執事はその視線に気づかないフリをしている。
ペアになった可愛らしいカップに紅茶を注ぐなり「では私はこれで失礼いたします」と言って、執事はその場を離れた。
また2人きりになってしまったわけだが、甘い物の力なのか、王子の緊張はだいぶほぐれていた。
「……甘い物が好きなのか?」
「はい。とっても美味しいです!」
初めて向けられた笑顔に、王子は顔を赤らめた。
そんな気恥ずかしさを隠すために、ずっと気になっていたことを聞いてみる。