心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「そ、そういえば、なんでお前は今まで聖女だって名乗り出なかったんだ?」
「え?」
「7年間も黙ってたのはなぜだ?」
監禁のこともイザベラのことも何も知らない王子が、ケーキを頬張りながら質問してきた。
その目は暗い理由があるとは全く思ってもいないような、純粋な目をしている。
マリアは紅茶を一口飲むと静かにカップを置いた。
「……マリア、自分が聖女だって知らなかったから」
「は? なんだそれ?」
エドワード王子は訳がわからないといった顔をしている。
しかし、監禁のことなどはこちらから話す必要はないとグレイから言われているため、マリアはそれ以上何も言えなかった。
話題を変えるために、マリアは自分が気になっていたことを聞いてみることにした。
「ねぇ、婚約者ってなあに?」
「ぶほっ!!」