心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
42 憎めない幼なじみ
「えっ!? じゃあ、王宮まで行ったのにお母さんには会わなかったの!?」
呼んだ覚えも招き入れた覚えもない客──レオを、グレイはジロッと睨みつけた。
レオはメイドに淹れてもらった紅茶を飲みながら、優雅に執務室のソファでくつろいでいる。
学園の帰りに寄ったのか、レオは紺色の制服姿だ。
「なんでお前がここにいるんだ」
「だってグレイってば最近全然学園に来ないんだもん! ここに来なきゃ会えないじゃないか!」
「別に会わなくていいだろ」
「久しぶりだっていうのに、相変わらずひどいっ!! 俺の扱い、雑!!」
「うるさい」
グレイはブーブー文句を言うレオから視線を外し、目の前の書類に目を通しながら切り捨てるように言った。