心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「俺、もう高等部を卒業したぞ」
「ぶふっ!!!」
レオは飲んでいた紅茶を派手に吹き出した。
ソファの前に置いてあるテーブルが紅茶でベタベタになっているのを、グレイは冷ややかな目で見つめている。
書類のたくさん置いてある俺の机の前でなくてよかった、と安堵していた。
口の周りがベタベタに汚れたレオは、そんな自分の状態などお構いなしにバッと勢いよくソファから立ち上がった。
アゴからは紅茶がポタポタと垂れている。
「そ、そ、卒業したってどういうこと!? しかも今、高等部を……って言った!? 俺たちはまだ中等部だろ!?」
「まず顔を拭け。あの学校は、進級試験を受けて合格すれば自分の年齢以上の学年にいける。知ってるだろ?」
レオは制服のポケットから取り出したハンカチで顔を拭きながら、興奮した状態で質問を続けてくる。
「特別進学制度のこと!? でもあれは、学年で成績1番の生徒でも合格できるかわからないくらいの難易度の高さだぞ!?」
「そうか? 簡単だったぞ」