心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
グレイが気づかないフリして声をかけずにいると、レオが照れくさそうに笑いながら話しかけてきた。
「え……っと。そういえば、グレイのお母さんの話が途中だったね、えへ」
レオはするりと執務室に滑り込むなり、先ほど座っていたソファにちょこんと座って姿勢を正す。
そして何事もなかったかのように真面目な顔に戻ると、真剣な目でグレイを真っ直ぐに見つめてきた。
「それで!? なんで王宮まで行ったのにお母さんに会わなかったの? 処罰とかはどうなったの?」
……コイツ、変わり身が早すぎだろ。
グレイはレオに冷たい視線を浴びせながらも、また机にペンを置いて話し始めた。
レオは時々突拍子もないことをするが、グレイはそんなレオの自由なところは嫌いではなかった。