心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「コイツらも聖女隠蔽の共犯だからな。2人が捕まった日の夜、ご丁寧にガイルが顧客名簿を騎士団長に渡していたらしいから、あとはそれ以外の者がいないかどうかの聴取が行われているそうだ」

「あの夜にそんなことまでしてたんだ。さすがガイルだね……」

「どうやら聖女隠蔽以外にも色々やらかしている奴ららしいからな。そのうち一掃されるだろ」

「でもさ、隠蔽って意味では、俺達もすぐに報告しなかったから同罪なんじゃ……」


 ソファに置いてあったクッションをぎゅっと抱きしめながら、レオが怯えたようにボソッと言った。
 心配そうな顔でグレイをじっと見つめている。

 グレイはしばらくレオの目を見つめ返していたが、ふいっと目をそらして静かな声で答えた。
 
 
「それならお前よりも長く隠していた俺のがもっと重罪だな」


 マリアとはレオよりも早く会っていたというのに、レオに言われるまでマリアを解放してあげようなどという考えは浮かばなかった。
 グレイはそんな自分を少なからず責め続けている。



 もっと早く解放してあげれたというのに。なぜ俺はすぐに助けなかったんだ……。

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