心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
無表情ではあるが、グレイが後悔しているのだとレオは気づいた。
グレイが自分を責めている姿なんて、一体いつ以来だろう!? とレオはもの珍しい目でグレイを見つめる。
こんな姿を見るたびに、昔の明るかったグレイに戻ったみたいでレオは嬉しく思った。
「で、でも俺達ちゃんとマリアを救ったもんね! 助けるのが遅くなっちゃったことは、今さら後悔したって変えられないんだから仕方ないし!」
自分自身に言い聞かせるように、そしてグレイを励ますようにレオがそう明るくフォローすると、グレイがチラ……とレオを横目で見てきた。
レオは無意識にソファから立ち上がっていて、ガッツポーズをしながら熱く語っている。
「早く助けてあげられなかった分、これからいっぱい大事にしてあげればいいんだよ!! ねっ!?」
グレイの暗くなっていた碧い瞳が明るくなっていく。
『これからいっぱい大事にしてあげればいい』という言葉に、グレイは心の迷いが消えた気がした。