心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
マリアを下におろしたレオは、テーブルの上にあるパンケーキを見つけて目を輝かせた。
「パンケーキを食べていたの? 美味しそうだねっ」
「うん。とってもおいしいよ。レオも食べる?」
「いいの?」
「もちろん」
マリアはそう言うと、エミリーにレオの分も持ってきてほしいとお願いした。
エミリーはにこっと優しく微笑むと「かしこまりました」と言って部屋から出て行く。
空いているほうの椅子に座ったレオは、ニコニコと嬉しそうに笑いながらお腹をさすっている。
「よかった〜。さっき食べたクッキーは味がしなかったんだよね。グレイが怖くて!」
「怖い? お兄様、怒ってるの?」
「ん? んーー……怒ってる……のかなぁ?」
「?」
曖昧なレオの返答に、2人して不思議そうなキョトンとした顔になってしまう。
結局お兄様は怒ってるの? 怒ってないの?