心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「……って、ちょっと待って!! ミアのキスされたの!? エドワード王子に!? ま、まさか、グレイのいる前で……?」

「う、うん」

「ああーーーーーだからかぁーーーー」


 レオは右手を自分の目元に当てて、顔を上に向けた。
 椅子の背もたれに頭を乗せて、身体をだるーんと伸ばしている。

 何かに呆れているようなレオの反応に、マリアは不安になった。


「……ダメなことだったの? お兄様もなんだか怒っているみたいだったし、ミアのキスのこと教えてくれないし、マリア……お兄様に嫌われちゃったのかな……?」


 黄金色の瞳が涙目になってさらにキラキラと光っている。
 初めてマリアの涙を見たレオは、慌ててマリアの肩を優しく掴んだ。


「そんなわけないじゃん!! グレイはマリアのこと嫌いになったりなんかしないよ! 絶対!!」

「でも……」

「グレイが怒っているように見えるなら、それはマリアに対してじゃなくてエドワード王子に対してだと思うし……」

「……なんで?」

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