心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 浄化とか、辺りを清潔に保つ力もあると伝えられている。
 子ども自身や着ている服、それからこの檻の中も綺麗であるのは、その力のおかげか。

 ここで、グレイはもう一つ確認しておくことがあった。
 この子どもが、ジュード卿の愛人が連れてきた赤ん坊なのかという確認である。


「お前は、イザベラがここに来る前……ここに住んでいた女の娘か?」


 子どもはコクリと頷いた。


「やはりそうか」


 予想が当たっていたというのに、グレイはあまり嬉しくはなかった。
 先ほど見た聖女の力の印象が強すぎたせいだろうか。
< 34 / 765 >

この作品をシェア

pagetop