心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
「マリアの次のレッスンはなんだ?」
「えっ? ……あっあの、4時からウォーキングレッスンの予定です!」
エドワード王子に同情の視線を向けていたエミリーは、突然グレイに話しかけられたので焦りながら答えた。
「4時か……。あと2時間あるな」
「ダンスレッスンの後ですので、休息とティータイムを長めに取ってあります」
「なるほど。では、その時間エドワード殿下と一緒に過ごせるよう手配を頼んだぞ」
「はっ、はい!!」
いきなり王子のおもてなしを任されたエミリーは、顔を真っ青にしながら慌てて部屋から出て行った。
他のメイド達も焦ってエミリーのあとについていく。
きっと今頃厨房ではメイドとコック達が大慌てで準備に取り掛かっていることだろう。
グレイはすっかり意気消沈しているエドワード王子に、冷静に話しかけた。
「……ということですので、4時までですが構いませんか?」
「……あ、ああ」