心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
それにしても、まさかジュード卿の愛人の娘が聖女だったとは……グレイは驚くとともにどこか納得していた。
だからあの男は愛人を家に連れて来たのだ、と。
この子どもはジュード卿とは血が繋がっていない。
ジュード卿であれば、もし愛人を欲していても赤ん坊は捨てて女だけを連れてきただろう。そういう男なのだ。
ジュード卿の狙いは女ではなくこの子ども──聖女のほうだったのだ。
彼の連れてきた女も、子どもを大事にするような母親には到底見えない。
女も、自分の娘が聖女であることを利用して、貴族の家に入り込んできた。
ジュード卿と女は愛し合っていたわけではなく、2人ともこの子どもを利用していただけだった。