心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
そうに違いない! と言わんばかりの自信顔で、グレイはマリアの頭をポンポンと優しく撫でた。
サラサラのプラチナブロンドの髪が、暗い部屋の中でキラッと輝く。
「もし俺が結婚をしても、お前を邪魔に扱ったりなんかしないから安心しろ」
「……うん」
グレイは自分なりに笑顔を作り優しく言ったつもりであった。
しかし、安心させるために言ったはずの言葉を聞いてマリアの表情はさらに暗くなる。
返事もギリギリ聞こえるくらいの小さな声であった。
な、なんでさらに落ち込むんだ?
マリアがなぜこんな反応をするのか、グレイには理解できなかった。
これがガイルの言っていた『女心』というものなのか。
それが理解できないということは、ガイルの言った通り自分には勉強が必要なのかと、真剣に考え込む。
『グレイ様はもう少し、女性のお気持ち……いえ、恋心というものを勉強されたほうがよろしいですな』
その言葉を思い出した時、グレイはチッと心の中で舌打ちをした。