心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

 王宮の中に入ると、マリアのために用意されたであろう部屋へと案内される。

 白とピンクを基調とした可愛らしい部屋に、マリアの心は踊った。
 キラキラと輝いたマリアの瞳を見て、メイドや執事達が安心した表情になったことにも気づかないくらい、マリアは浮かれていた。



 かわいいお部屋……!
 あのソファに置いてあるウサギの人形、とってもかわいい!!
 抱っこしたいけど、今日のマリアは聖女様だから触っちゃダメかな?



 マリアがそわそわしながらウサギのぬいぐるみを見ていることに気づいたメイド達が、その愛らしさに各々が興奮している。


(ああ……! 聖女様、ぬいぐるみを見ているわ! なんてお可愛らしい!)
(触りたいのかしら? もしかして、我慢されてる?)
(なんていじらしいのかしら! どうぞって差し出したいわ!)


 そんなメイド達の視線に気づかないマリアは、なんとか我慢してぬいぐるみの隣にちょこんと座った。

 可愛いマリアとウサギのぬいぐるみの愛らしいツーショットにメイド達が悶えていると、部屋の扉がノックされた。
 外に立っている騎士の声が聞こえる。


「エドワード殿下がお見えになりました」
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