心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない
かわいいと思うはずの我が子なのに、エマにはあまりそんな感情はなかった。
相手にも逃げられて、このまま自分1人で育てていけるのか、自分の人生はどうなってしまうのかと不安でいっぱいになっていた。
エマが違和感に気づいたのは、出産して数日経った深夜の授乳中である。
赤ん坊はまだ半分くらいしか目を開けられない状態だったが、真っ暗な中で開けられた瞳からは光が漏れていた。
「な……何これ……」
今まで深夜に目を開けたことがなかったので気づかなかったが、暗い中でもはっきりわかるほどキラキラと輝く黄金の瞳。
エマも父親となる男も、瞳の色は茶色であった。