心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「あの、エドワード様。マリアに悪いところがあったら教え……」


 まだ話している途中だったが、王子はいきなりクルッと振り向いてマリアに背を向けた。
 王子の手はぎゅっと強く握りしめられていて、少しプルプルと震えている。



 お、怒っちゃった!?



 マリアの顔が真っ青になる。
 どうしたらいいのかわからずいるマリアに向かって、初めて王子が話しかけてきた。
 顔は後ろを向いたままなので見えない。


「き、今日は聖女が主役だというのに、なんなんだ、そのドレスは!?」

「えっ……このドレスじゃダメですか?」

「別に、ダメじゃない……けど」


 ルシアンのドレスがダメだと言われなかったことに、マリアは安堵した。
 ホッとしたのもつかの間、王子は後ろを向いたまま話を続ける。


「でも地味じゃないか!? 宝石や飾りがほとんどついてないじゃないか!」

「地味??」

「エドワード様!」
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