心を捨てた冷徹伯爵は聖女(義妹)を溺愛していることに気づいてない

「聖女様だーー!!」
「なんて美しい!!」
「国の宝! 女神様! 聖女様!」


 大興奮の国民を見て、陛下が楽しそうに声をかけてくる。


「想像以上の盛り上がりだな! はははっ! マリア嬢、皆に手でも振ってあげなさい」

「……はい、陛下」


 少し恥ずかしい気持ちもある中、マリアは小さく手を振った。
 さらに興奮した国民達は、みんな嬉しそうに手を振りかえしてくれる。
 小さな子ども達がぴょんぴょん飛び跳ねているのが見えた。

 マリアの心に、温かい何かが流れ込んでくるような、不思議な感覚に襲われる。

 その時、マリアの黄金の瞳がキラキラと輝いた。
 瞳だけではなく、マリアの身体全体を黄金の光が包むように輝き出したことに周りが気づいた時には、その光がパアッと散らばった。

 雪のように、キラキラと輝く光のカケラが空に舞い、ゆっくりと落ちていく。
 下にいる国民は、皆その光のカケラを受け取ろうと手を丸めたり、ハンカチを広げたりしている。
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